フランス料理の加熱調理【低温調理】

低温調理

 低温調理は焼き色をつけない調理方法ではありますが、様々な機器を用いて加熱温度を厳密に管理し、従来の調理法ではできなかった素材の風味やテクスチャーを引き出します。

 肉を加熱調理すると68度でタンパク質が凝固して肉の水分が分離するので、低温調理では基本的に68度を超えないように加熱をします。低温で加熱するので、従来の加熱方法より時間がかかります。またメイメード反応による風味はやテクスチャーは得られないので、必要に応じて低温調理前か、低温調理後に高温で表面に焼き色をつけることがあります。

 この調理法は仔羊や鴨胸肉をロゼに仕上げるのに効果的で、微妙な温度調整を必要とする調理に多く使われています。中心温度を55度に仕上げたい場合、55度で加熱して中心まで55度にあるように調理します。ほの方法であれば火を通し過ぎることもなく、余熱を考えずに狙い通りの温度に仕上げることができます。また、加熱後すぐに切り分けても肉汁が流れ出ることがないので、休ませる必要もありません。

 最近では「~度で加熱した松坂牛」など低温で加熱したという料理名も増えてきています。低温調理を行うにはオーブンや鍋など従来の調理器具も用いますが、主に真空調理を利用することが多いです。

真空調理

 生または下ごしらえをした材料を調味料や調味液とともに専用パックに入れて真空包装し、真空調理用の湯煎機やスチームコンベクションオーブンなど、温度や時間を正確に管理できる機器を用いて加熱するのが真空調理です。真空したパックで加熱をすると、加熱温度が素材にそのまま直接伝わるので、仕上げたい温度で加熱をすれば良いのです。加熱時間と温度を数値化することで誰にでも、同じ状態に仕上げることができるようになりました。ですのであまり調理技術のない若い人でも、独立しやすくなりました。

 真空包装した材料は、空気に触れることがないので酸化による色や味の変化が起こりにくいです。また、調味料を一緒に真空すると素材によく浸透し、少量の調味料で全体に均一に味をつけることが可能になりました。真空のパックごと加熱するので素材の風味や栄養価、水分などが失われにくいです。さらに肉や魚は低温で調理することで柔らかくジューシーに仕上げることができます。

 一方、材料にアクや嫌な匂いなだがついていると、そのまま残ってしまうので新鮮な材料を使うことが大事なってきます。また、低温調理をする場合は衛生管理を徹底し、素材の種類に応じた芯温で一定の時間加熱を行わなければなりません。(芯温75度で1分間加熱したと同等以上の殺菌効果がある方法) 真空調理には2つの利用方法がありあます。1つは加熱調理した材料をすぐに料理に仕上げて提供する場合は低温調理の特徴を生かし、正確な芯温管理で肉や魚を柔らかく仕上げる調理法として利用します。2つ目は真空することで保存性が向上するので、大量調理施設では仕込んだ材料や完成した料理の保存を目的として導入しています。真空調理で保存をする場合は、加熱時に限らす冷却や保存時の温度も厳守し、徹底的な衛生管理が必要になります。

真空調理の歴史

 真空調理は真空包装から生まれた調理方法です。保存を目的とした真空包装の技術が開発されたのは20世紀初めのころで、1970年代には食品を加熱加工する試みがヨーロッパやアメリカで始まり、食肉の加工にも利用されるようになりました。この技術を革新的に応用したのがフランスの食肉加工業社ジョルジュ・プラリュという人物です。1974年プラリュはフォアグラのテリーヌの製造に真空調理を使用し、脂肪の流出によるテリーヌの目減りを最小限に抑える方法を発見しました。彼はその後も研究を重ね、講習会や学校の設立を通して、真空調理の普及に努めています。1980円代半ばには、フランスの国鉄の要請を受けたジョエル・ロビュションが社内食堂のメニュー開発に協力し、真空調理法を用いた料理を提供して高評価を得ていました。

調理温度早見表

温度 食材
90度 野菜
65度 豚、鶏もも肉
62度 タンパク質の変性が始まる温度
58度 仔牛、白身の鳥
56度 赤身の鳥、鴨やうずらなど
55度 牛肉、仔羊(ロゼ)
52度 魚類

 

調理温度と調理時間の目安 肉類

食材 温度 時間
サーロイン 59,5 45min
鶏モモ肉 64 1h
鴨胸肉 60,5 25min
鴨ももコンフィ 82,2 2h
ラムラック 60,5 35min
82,2 12h
仔豚もも、肩肉 80 8h
仔豚ロース 60,5 20min
うずら 64 1h
うさぎロース 64 12min
鳩ムネ 60,7 20min
鳩もも 68 2h
仔牛 60,5 30min
牛タン 70 24h
仔牛レバー 63 1h
鴨砂肝 82,2 8h
フォアグラ 64 25min
豚尻尾 82,2 8h
トリッパ 82,2 8h

調理温度と調理時間の目安 魚介類

食材 温度 時間
はた、すずき 62 11min
コウイカ 64 10h
うなぎ 59 10min
オマールえ海老 59,5 15min
あん肝 64 3h15min
たこ 77 5h
まとう鯛 60 10min
チョウザメ 61 16min
マグロ 59,5 13min

調理温度と調理時間の目安 野菜類

食材 温度 時間
アーティチョーク 85 45~75min
ホワイトアスパラ 85 30min
人参 85 40min
カリフラワー 85 15min
根セロリピューレ 85 1h30min
とうもろこし 85 30min
フェンネル 85 4min
ピューレ用フェンネル 85 1h
玉ねぎ 85 1h
ペコロス 85 30~40min
ソース用玉ねぎ 85 6h
じゃがいも 85 20~25min
かぼちゃ 85 5~6min
ラディッシュ 85 6min
大根 85 30min
リュバーブ 61 15min
かぶ 85 30min
ごぼう 85 1h
菊芋 85 1h
ふだん草 85 75min

調理温度と調理時間の目安 フルーツ類

食材 温度 時間
ソース用りんご 85 25min
りんご 85 30min
ピューレ用りんご 85 40min
バナナ 85 10min
ソルベ用バナナ 85 45min
コンソメ用ベリー 65 45min
洋ナシ 83 25min
ピューレ用洋ナシ 83 1h
パイナップル 75 1h1h
プラム 75 20min
ジャム用プラム 90

 

ここにあげたのはあくまで一例です。肉の大きさや骨の有無によって時間や温度の調節は必要になります。ぜひ自分だけのオリジナルのテクスチャーを発見してみてください。

 

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