フランス留学経験のあるシェフが教える乳製品の真実

フランス留学経験のあるシェフが教える乳製品の真実

フランス料理をする上で欠かせない食材の1つに乳製品があります。カフェ・オ・レの牛乳や食後のチーズだけではなく、似たり、焼いたりする時にバターやクリームが欠かせない料理も多く、料理にとろみやコクを加え、滑らかさや風味をよくする役割もあります。

哺乳類のメスの父を絞って得られる乳白色の液体です。そのまま飲むだけでなく練乳、粉乳、ヨーグルト、クリーム、バター、チーズなど様々な形に加工して使います。主に牛乳のことを言いますが、フランスでは他に羊やヤギを世界的には水牛やラクダや馬などの乳も利用しています。

乳の歴史

ヤギや羊は紀元前8000〜9000年ごろの農耕の始まりから家畜化され、牛もほぼ近い時期と言われています。メソポタミアや古代エジプト文明の遺跡には、乳製品が利用されていた様子が残されています。

古代ギリシャ・ローマ時代には主に羊、ヤギ、ロバから乳を得ていました。一方ローマ帝国が拡大していく以前から現在のフランスにあたる地域に住んでいるガリア人は牛の群れを飼育し、その乳を飲んだり、発酵させてヨーグルのようなものを作ったりしてたといいます。

乳は保存が効かないため、古代からチーズに加工する技術はあり、中世には各地で独自のチーズが作られるようになりました。またバターは紀元前の聖書や経典にそれらしきものについて述べられており、古代ギリシャ・ローマ時代に作られ美容や薬用にも作られていたという記録があります。ただし、バター製造が広まるのは14世紀ごろで、保存性の点などから本格的に使われるようになったのは17世紀ごろからです。

フランスの主な乳牛の種類

・ホルスタイン(フリーシアン)

オランダ、ドイツ原産。アメリカやヨーロッパ各地に広がり、改良されて様々な名前で呼ばれています。フランス語ではプリモルスタン。体毛は黒白のまだら模様です。乳量が非常に豊かで肉用にもなるため「乳牛の女王」と言われ、もっとも飼育頭数が多いのがt口調です。

・モンベリヤルド

モンベリヤール原産。肉用としても評価の高い牛です。フランスの東部、南東部、中央山塊で多く飼育されています。赤茶色のまだらで頭は白い大型の牛です。乳は無脂乳固形分が多いです。

・ノルマンド

ノルマンディー地方原産です。ノルマンディー、ペイ・ド・ラ・ロワール、ブルターニュ地方で飼育されていいる肉用にもなる牛です。体毛は黒、黄褐色、白色のまだらで頭は白いです。乳は脂肪分、タンパク質が豊富で質が良く搾乳量も多いのが特徴です。

日本の主な乳牛

ホルスタインが中心です。ごく一部でジャージー(英仏海峡にあるジャージー島が原産の牛です。乳量は少ないですが、乳は脂肪率が高くコクがあります。)、ガンジー(英仏海峡にあるガンジー島が原産の牛です。乳量や質はジャージーと同様で風味が良い)などを飼育しています。

牛乳の成分とは?

牛乳は絞った牛の乳(生乳)のみを原材料にしたもので、一般的には加熱殺菌、ホモジナイズして売られています。約88%が水分で、乳脂肪分は平均3,7%(ホルスタイン種の平均)タンパク質約3%(主にカゼイン)糖質約4,5%(大半が乳糖)そのほかミネラル(カルシウム、カリウム、リンが多い)、ビタミン類を含みます。乳脂肪以外の固形分を無脂乳固形分といいます。フランスの牛乳とその加工品は乳脂肪分によって分類され、容器・包装の色で区別されています。

牛乳の殺菌法は?

牛乳の殺菌方法は大きく分けて低温殺菌法と高音殺菌法があります。加熱処理の温度や時間は国によって規定が異なります。フランスでは、高温短時間殺菌、高温保持殺菌、超高温瞬間殺菌の3つの殺菌方法があります。

日本では乳等省令により「牛乳」と表示されるものは「63℃で30分またはそれと同等の効果のある方法」で殺菌するとされています。実際は、市販の牛乳は超高温瞬間殺菌法(120〜150℃で1~3秒の加熱)が主流で低温殺菌法は少ないです。

LL牛乳(ロングライフ牛乳)は超高温殺菌し、光と空気を遮断できる強度のある容器に、無菌の環境下で充填、密封したもので常温で保存することができます。

ヨーグルト

乳に乳酸菌を加えて、42〜45℃で発酵させたもの。酸味、とろみがあります。砂糖などを添加しないプレーンのヨーグルトの他、砂糖、香料、フルーツを加えたもの、凝固剤で固めたもの、液状にした飲むヨーグルト、攪拌しながら凍結してアイスクリームのようにしたフローズンヨーグルトなどがあります。

クリーム

牛乳を遠心分離して、乳脂肪の多い部分を集めたものです。昔は絞った牛乳をしばらく静置し、脂肪分が浮いて集まってきた上部をすくい取って使用していました。フランスでは牛乳と同様に殺菌法が3種類あり、また液状の非発酵クリームと半固形状の発酵クリームが使われています。イジニー産クリームが唯一AOC/AOPに認定されています。ショ糖、香料、安定剤を添加して泡立てたクリームやエアゾール容器入りで泡状に出てくる製品などもあります。

日本では乳等省令によって「クリーム」と「乳又は乳製品を主要原料とする商品」とがあり、前者は「生クリーム」と一般に呼ばれています。高温短時間殺菌又は超高温瞬間殺菌した液状の非発酵クリームで、コーヒー用とホイップ用に分けられます。

近年では業務用に濃縮したものやフランスの生クリームに近づけた製品(乳脂肪分がやや低めのものや発酵クリーム)が作られるようになりました。植物性油脂をしようした製品も需要が多くなってます。

フランスのクリーム

種類  特徴
クレーム・クリュ  伝統的な製法で一切の殺菌処理をせず、乳から直接脂肪分を分離して作ります6℃で貯蔵し、消費期限は7日です。通常ほかのクリームより乳脂肪分は高いです。最初のうちは液状で、酸味はなくてまろやかな風味です。徐々に自然発酵していき濃度と酸味がが増していきます。
クレーム・フレッシュ・パストゥリゼ・リキッド  高温短時間殺菌(85~95℃で15~20秒)した液状の非発酵クリームです。殺菌したその場所で24時間以内に包装したもので乳脂肪分は通常35〜40%です。低脂肪のものも作られ消費期限は30日です。
クレーム・フレッシュ・パストゥリゼ・エペス  半固形状の発酵クリームです。クリームを高温短時間殺菌(85~95℃で15~20秒)したあと、6〜7℃に冷やし乳酸菌を加えて発酵させたもので、濃度が高く穏やかな酸味と独特の熟成した風味、コクがあります。
クレーム・ステリリゼ・リキッド  高温保持殺菌(115℃で15〜20秒)した液状の非発酵クリームです。加熱により「焼けた」風味が生じます。消費期限は8ヶ月です。
クレーム・ユ・アッシュ・テ  超高温瞬間殺菌(140〜150℃で約2秒)した液状の非発酵クリームで消費期限は4ヶ月です。
クレーム・レジェール  脱脂して、脂肪分を12〜30%にした低脂肪分クリームです。発酵、非発酵、高温短時間殺菌、高温保持殺菌のものがあります。

日本のクリーム

種類  特徴
低脂肪(コーヒー用)  乳脂肪分18〜30%の泡たたないクリームです。低乳脂肪なので熱いコーヒーや紅茶にも馴染み、調理にも使われます。
高脂肪(ホイップ用)  乳脂肪分30〜48%のコクがあり、風味も優れているクリームです。しかし、安定性が悪く温度変化に弱い。泡立ちやすいが分離もしやすい。酸にも弱いです。
純乳脂のクリーム  上記のクリームに、安定剤・乳化剤を入れて作業性を高めたものです。熱や酸に対する安定性、泡だて後の保形性が優れ、風味も保存性も良い
コンパウンドクリーム  乳脂肪の一部を植物性脂肪(パーム油など)に置き換えたものです。安定剤・乳化剤を添加し、純乳脂ののものよりあっさりしていますが、乳脂肪も加わっているのである程度風味も良いです。保存性が高く安定性がよく価格も安い。
植物性クリーム  植物性クリームと無脂乳固形分に安定剤・乳化剤などを加えて作ったものです。風味があっさりしていて保存性が高く、安定性がよく、価格も安いです。
クロテッドクリーム  英語で「凝固したクリーム」の意味のクリームです。イギリスのテヴォン州でよく作られているものでスコーンに添えるのが定番です。乳脂肪分が60%以上と高く、柔らかい固形状です。日本でも形状や風味を真似たものが販売されています。
サワークリーム  乳酸発酵させたクリームです。東・中欧、ロシア、イギリスやアメリカでよく食されています。フランスの発酵クリームとは発酵さる菌んpしゅるが異なり、はっきりした酸味があります。日本で売られているのは乳脂肪分40%以上が多いです。
クレーム・エペス、クレーム・ラフィネ、クレーム・ドゥーブル  フランスの発酵クリームを真似て作られたクリームです。乳脂肪分30〜40%で、クレーム・ドゥーブルという名前の製品は発酵させず、加熱濃縮して乳脂肪分を高め粘度とコクを高めたクリームもあります。

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