フランス料理の基本調理【ソース】

ソースとは?

温製または冷製の多少濃度のある液体状の調味料がソースです。

料理とは別に作ったり、

加熱調理中にでる肉汁を利用して作る方法などがあります。

出来上がった料理に添えたり、

材料をあえたりして料理の味を高めるために使います。

ソースを作り方で分けると、

材料を混ぜ合わせるだけのものや、

水と油を乳化させたもの、

ベースになるフォンなどの液体につなぎを加えて濃度をつけたものなどがあります。いずれも基本のソースに香辛料やアルコール、スパイスなどを加えて派生のソースを作ります。

クラシックなフランス料理では素材とソースの伝統的な組み合わせがあります。例えば、

鴨とオレンジ、鱈とニンニク、羊や魚とカレー風味、ジビエと赤スグリ、

牛肉とコルニションなどこれらの組み合わせは古くから相性が良いとされています。

メニュー作りに困った時などはこの組み合わせを意識したりしてメニューを作ったりします。

ソースの移り変わり

フランス料理といえばソースで食べるもの、

他の料理との違いを聞かれたらソースがあることというのがフランス料理の一番の特徴でした。

クラシックなフランス料理のレストランではソースを作る人は最も調理経験の長い料理長などが担う仕事です。

そういう意味でもフランス料理でのソースの重要性というのはよくわかると思います。

中世のフランス料理で使われるソースといえば、

酸味のある液体にさまざまなスパイスを混ぜ、

パンでとろみをつけたというような今ではとても考えられないようなシンプルなものでした。

17世紀なり、

煮込み料理の煮汁にルーなどで濃度をつけるというような今のフランス料理のソースに近づいてきます。

18〜19世紀になると料理は複雑に華美になって行きます。

それに伴いソースの種類も創作されるようになりました。そんな多くの種類のソースを体系づけたのがアントナン・カーレムでした。

基本のソースに他の材料を加えて派生のソースを作るというのもアントナン・カーレムが作り出したシステムでした。

外国で修行していた料理人たちが持ち帰ったソースなども加わりこの時代にソースの数大幅に増えることになりました。

20世紀になり、

古典料理をまとめ現代フランス料理の橋渡しの担ったのがエスコフィエでした。

エスコフィエはフォンをソースのベースにするという考え方を提案し、

徐々に単純化、簡素化していきました。

このような流れは20世紀後半ごろまで続きました。

しかし、

20世紀の後半になると、軽く、消化の良い料理、ヘルシー思考が強まり、

ルーを使ったソースやソース・エスパニョールやヴルーテなどは敬遠されるようになりました。

これをヌーヴェルキュイジーヌと呼びます。この流れの背景には輸送手段や食材の品質の向上があります。

輸送や保存の方法が限られていた時代では新鮮な食材が常に手に入らなかったので、完成されたソースの味こそが料理の味を決める大事な要素でした。

しかし、

食材の品質の向上により、

食材の味をいかに生かすかに重点が置かれようになりました。

ですので、

複雑で濃厚な味のソースで食材の味を隠してしまうような料理はだんだんと減っていきました。

現代のフランス料理では、

材料の味を凝縮させたソースを少量添えるスタイルが増えています。

ソースは料理自体の味を決める役割から、

主素材を引き立てたり、

料理に一体感をもたらす役割へと変化してきています。

ソースに濃度をつける

デンプンでつなぐ

コーンスターチ、マイセナ、片栗粉、ジャガイモのデンプンなどでつなぎます。

ワインや水で溶き、沸騰させた液体に混ぜながら加えて、ダマができないように濃度をつけます。

ルーでつなぐ

小麦粉とバターを同量で炒めたものがルーです。

ダマができないように炒めたルーを冷ましてから、

沸騰している液体を加えて混ぜます。

色付けないように炒めた白いルー、

しっかり炒めて色付けた茶色いルーなどがあり、

ソースの色によって使い分けます。

古典フランス料理ではルーを使って多くのソースが作られましたが、

ヌーヴェル・キュイジーヌ以降はほとんど作られることがなくなりました。

ブール・マニエ

やわらくしたバターに同量の小麦粉を混ぜ合わせたもので、

沸騰した液体に入れ、濃度をつけます。

ルーと違うのは火を入れていないというとこです。

動物性たんぱく質でつなぐ

卵黄、動物の血、オマールのコライユ、魚の肝、

うになどの火を入れると凝固する作用を利用して液体に濃度をつける方法です。

これらの材料は加えてから液体を沸騰させるとダマになるので繊細な仕事が必要となります。上級者向けのテクニックです。

野菜のピューレ

ジャガイモやニンジンなどの野菜のピューレを加えてソースに濃度をつけます。

もしくは野菜のピューレにフォンやジュなどを加えてソースとします。

乳化

水分と油分を乳化させて濃度をつける方法です。

わかりやすいのはマヨネーズです。

卵黄に含まれるレシチンにの乳化作用によって濃度がついています。

ブール・ブランは少量の水分にバターを乳化させたソースです。

ソースの仕上げにバターを加えることを「モンテする」と言います。

これもバターを使って乳化させてソースにコクや濃度をつけます。

煮詰める

 ゼラチン質を豊富に含んだフォンがベースのソースは、

煮詰めて水分を飛ばすと濃度がつき、艶がでます。

生クリームがベースのソースは他のつなぎの材料や煮詰めたフォン、

バターなどと一緒に煮詰めると滑らかになります。

基本のソース

ソース・エスパニョル sauce espagnol  茶色いフォンに茶色いルーを加えて煮る。炒めた塩漬け豚バラ肉と香味野菜を加えてさらに煮ます。濾して一旦冷まし、トマトを加えてさらに煮ます。
ソース・ドミグラス sauce demi-glace  ソース・エスパニョルのアクをできるだけ丁寧にとり、肉や鶏のグラスを加えます。用途に合わせたワインで風味ををつけたもの
ジュ・ド・ヴォ・リエ jus de veau lié  仔牛の茶色いフォンを煮詰め、アロールートでつないだもの
ソース・トマト sauce tomate  塩漬け豚バラ肉、香味野菜、小麦粉を炒め、トマト、白いフォン、ニンニク、塩、砂糖、胡椒を加えて煮たもの
ヴルーテ velouté ブロンド色のルーに仔牛の白いフォンを加えたもの
鶏のヴルーテ velouté de volaille ブロンド色のルーに鶏の白いフォンを加えたもの
魚のヴルーテ velouté de poisson ブロンド色のルーに魚のフュメを加えたもの
ソース・アルマンド sauce allemande  卵黄、白いフォン、シャンピニオンの煮汁、粗挽き胡椒、ナツメグ、レモン汁を混ぜ合わせ、ヴルーテを加えて煮詰め、仕上げにバターを加えたもの
ソース・シュプレーム sauce supréme  鶏のヴルーテ、鶏のフォン、シャンピニオンの煮汁を合わせ生クリームを加えて煮詰め、仕上げに生クリームとバターを加えたもの
ソース・ベシャメル sauce béchamel  牛乳にタイム、粗挽き胡椒、ナツメグ、塩、玉ねぎを加えて香りを移し、濾して白いルーに加えて煮たもの
     
ソース・マヨネーズ sauce mayonnaise  卵黄、酢、またはレモン汁、塩、胡椒、を混ぜあわせ、油を少しづつ加えながらつなぎます。最後に熱湯を少量加えて分離いにくくする

 

 

白い派生ソース

アルビュフェラ  albuféra  ソース・シュプレーム、ブロンド色のグラス・ド・ヴィヤンド、赤ピーマンバターを混ぜたもの
イヴォワール  ivoire  ソース・シュプレーム、ブロンド色のグラスドヴィアンドを混ぜたもの
ヴィルロワ  villeroy  ソース・アルマンド、トリュフの煮出した汁、ハムの煮汁を合わせたもの
オロール  aurore  ヴルーテ、トマトピュレ、バターを合わせたもの
オングロワーズ  hongroise ヴルーテ、炒めた玉ねぎ、パプリカ、バターをあわせたもの
オ・クルヴェット  aux crevettes  魚のヴルーテまたはベシャメル。生クリーム、魚のフュメ、小エビバター、カイエンヌペパー、小エビの身などを合わせたもの
ア・ラ・クレーム  à la crème  ソース・ベシャメルに生クリームを混ぜたもの
ショーフロワ  chaud-froid  ヴルーテ、白い鶏のフォンのジュレ、生クリームを合わせたもの
スービーズ  soubise  ソース・ベシャメル、炒めた玉ねぎ、白胡椒、砂糖、バター、生クリームを混ぜたもの
ノルマンド  normande  魚のヴルーテ、シャンピニオンとムール貝の煮汁、魚のフュメ、卵黄、生クリーム、レモン汁を混ぜたもの
プーレット  poulette  ソース・アルマンドシャンピニオンの煮汁、レモン汁、パセチ、バターを混ぜたもの
ブルトンヌ  bretonne  魚のヴルーテ、生クリーム、ポワローとセロリと玉ねぎとシャンピニオンを炒めたもの
ベルシー  bercy  魚のヴルーテ、魚のフュメ、白ワイン、エシャロット、パセリ、バターを、混ぜたもの
モルネー  mornay  ソース・ベシャメルにグリュイエールチーズ、パルメザンチーズ、バターを混ぜたもの
ベアルネーズ  béarnaise 白ワイン、エストラゴン酢漬け、エシャロットセルフィーユ、粗挽き胡椒、塩を煮詰めたものと卵黄、バター、カイエンヌペパー、エストラゴン、セルフィーユを加えたもの
オランデーズ  hollandaise  水、酢、粗挽き胡椒、塩を煮詰めたものと卵黄、バター、レモン汁を混ぜたもの

 

 

茶色い派生ソース

ゴダール godard ソース・ドミグラス、シャンピニオン煮汁、白ワインとハムと香味野菜を煮詰めたもの
サルミ salmis ソース・ドミグラス、ジビエのくず肉とがら、香味野菜、白ワイン、ジビエのフォン、シャンピニオンまたはトリュフの煮出し汁を混ぜたもの
シャスール chasseur ソース・ドミグラス、ソース・トマト、白ワインとシャンピニオンとエシャロットを煮詰めたもの。エストラゴン、セルフィーユ、バターを加えたもの
ショーフロワ chaud-froid ソース・ドミグラス、トリュフの煮出し汁、ジュレ、マデラ酒もしくはポルト酒を加えたもの
ディヤーブル diable ソース・ドミグラス、白ワインとエシャロットを煮詰めたものにかいえんんペパーを加えたもの
ペリグー périgueux ソース・ドミグラス、トリュフの煮出し汁、トリュフ、マデラ酒を混ぜたもの
ボルドレーズ bordlaise ソース・エスパニョル、赤ワインとエシャロットと粗挽き胡椒を煮詰めたものにグラス・ド・ヴィアンドを加えたもの
マデール madère ソース・ドミグラスに、マデラ酒を加えたもの
ロベール robert ソース・ドミグラスに、白ワインと玉ねぎを煮詰めたものに砂糖、マスタードを加えたもの

 

 

乳化ソース

ソース名 材料と作り方 派生ソースの例 加える材料
ソース・ヴィネグレット 酢、マスタード塩、胡椒を混ぜ合わせ油でつないだもの ソース・ラヴィゴット 玉ねぎ、ケッパー、刻んだハーブ
ソース・マヨネーズ 卵黄、酢、マスタード、塩、胡椒を混ぜ合わせ油を加えてつないだもの
ソース・タルタル
ソースレムラード
ソース・コクテル
ソース・ヴェルト
コルニション、ケッパー、ハーブを刻んだもの、固茹で卵の黄身
マスタード、ケッパ、コルニション、刻んだハーブ、アンチョビのエッセンス
トマトケチャップ、ウスターソース、タバスコ、コニャック
パセリのピューレなど
ソース・オランデーズ 卵黄と水を加熱しながら掻き立ててサバイヨンを作って、澄ましバターを加え混ぜ、レモン汁、塩、胡椒で、味を調える ソース・ムースリーヌ あわ立てた生クリーム
ソース・ベアルネーズ 酢、エシャロット、粗挽き胡椒、エストラゴンを煮詰めて卵黄を加えて加熱しながら澄ましバターを加え濾して刻んだハーブ類を加えたもの ソース・ショロン トマト
ブール・ブラン エシャロット、白ワイン、白ワイン酢をを煮詰めたレデュクションにたっぷりのバターを加えて、レモン汁、塩、胡椒で味を調えたもの    

ルーを使うソース

ソース・ベシャメル 牛乳を白いルーに加えて煮る。ナツメグ、塩、胡椒で味を調える
ソース・モルネー
ソース・スービーズ
グリュイエール
玉ねぎ
ヴルーテ 白いフォンや魚のフュメを白いルーに加えて煮て、塩、胡椒で味を調えたもの    

 

 

茶色いフォンを使うソース

フォン・ド・ヴォ・リエ 煮詰めたフォン・ド・ヴォにでんぷん質のつなぎを加えたもの
ソース・マデール
ソース・ポルト
ソース・ボルドレーズ
ソース・ペリグー
マデラ酒
ポルト酒
赤ワイン、エシャロット
マデラ酒。トリュス
ソース・ポワブラード 香味野菜を炒め、ジビエをマリネしたマリナードを加えデンプンでつないだジビエのフォンに胡椒を加えたもの ソース・ブラン・ヴヌール 赤スグリと生クリーム

 

 

フュメド・ポワソンを使うソース

ソース・ヴァン・ブラン エシャロットとシャンピニオン、白ワインを煮詰め、生クリームを加えて濾し、塩、胡椒、レモン汁で味を調える ソース・ヴェルモット 白ワインをヴェルモット酒に置き換えて同じように作る
ソース・アメリケーヌ 甲殻類の殻、香味野菜を炒め、コニャック、白ワイン、トマト、魚のフュメを加えて煮る。殻を潰して濾し、ブール・マニエで濃度を漬けたもの 甲殻類のクーリ ソース・アメリケーヌと同じように作り、ブール・マニエを加えずに濃く煮詰めたもの

 

 

その他のソース

ソース・トマト 香味野菜と塩漬け豚バラ肉、小麦粉を炒め、トマト鶏または仔牛の白いフォンを加えて煮たもの
トマトのクーリ トマトの果肉をミキサーにかけて液状のピューレにし、塩、胡椒で味を調えたもの
タップナード 黒オリーブ、アンチョビ、ケッパーをミキサーにかけペーストにしたもの
ピストゥー バジル、オリーブオイル、ニンニク、松の実などをミキサーにかけたもの
アイヨリ すりおろしたニンニクと卵黄を混ぜ、オリーブオイルでつないだもの
ルイユ ニンニクと赤唐辛子をすり潰し、卵黄や茹でたじゃがいもを混ぜオリーブオイルでつないだもの
   
   

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